お金が増えても生活の実感はそんなに変わらない。
今も借家で、今日も半額シールの肉を買ってます。

元ALTの夫の結婚当初の年収は300万弱。
安いアパート、安いご飯、安い服。

でもなぜか、あの頃のほうが時間の流れはゆっくりで、笑いも多かった。
――なんて、感傷的なことを言うつもりはない。

貧乏はきつい。
お金のことで夫婦喧嘩も増える。

結婚前の私は、手に職なしの一般事務の派遣OL。
地方の仕事なんて、一か月13~14万円程度しかなかった。

それでも2馬力でなんとか回していた結婚生活。
けれど妊娠8ヶ月で派遣契約はあっさり満了。
出産直前に新しい仕事が見つかるわけもなく、そこからが極貧生活の始まりだった。

出産後も、高卒・子持ち。
そのうえ乳飲み子を抱えているとなると、できる仕事なんて限られている。
地方では車が一人一台が当たり前だけど、我が家は一台だけ。
買い物も通勤も不便で、求職活動もままならなかった。

派遣会社なら何とかなるかと思って相談に行けば、
結婚後に名字がカタカナになったせいで「英語できますよね?」と期待される。
いや、遠く遠く及びません。
“英語力”なんて、家庭英会話レベルにも達してません。

数年間は一人でじたばた頑張ってみたけれど、
子育てと夫のサポートに疲れ切って、結局は就活を諦めた。
夫婦で事業を始めるまでは、年収300万円でなんとか乗り切ってきた。

年収300万円で子ども二人。
両家とも似たような家庭環境なので、親からの援助もなし。
結婚祝いと出産祝いを最後に、あとは完全に自力。
県外暮らしだから産後の手伝いもなし。
今振り返っても、よく詰まずにここまで来たと思う。

そして今。
世帯年収は1000万円を超えた(私が知る範囲では、の話)。

相変わらず借家で安いご飯食べとるがな!
夫は20年着てる穴だらけのTシャツを、いまだに現役で着とるがな!

数字だけ見れば立派な“目標達成”だ。
でも、達成しても景色はあまり変わらない。

子どもの学費は容赦なく出ていくし、
スーパーでは今でも半額シールの肉を探す毎日。
冷蔵庫の中身と現実は、そんなに豊かじゃない。

相変わらず、不安症の私は老後のことで頭がいっぱい。
「老後資金2000万円」とか言われてるけど、
じゃあ夫婦で4000万円!?と、今日も電卓を叩きながらため息をついている。

300万円から1000万円になるまでの話は、また別の機会に。
その間にあった“地獄と笑い”は、長くなるので。